
あなたは凡人?秀才?それとも天才?
「なぜ、あの人はあんなことを言うんだろう」
「なんであの人みたいにできないんだろう」
仕事をするなかで、このように悩むことはありませんか?
北野唯我氏の書籍「天才を殺す凡人」の中では、
・共感性で評価される「凡人」
・再現性で評価される「秀才」
・創造性で評価される「天才」
この三者の違いに触れ、それぞれが互いに殺し合っている現状と、そこから脱してそれぞれの才能を活かす方法が述べられています。
※書籍の元となる北野唯我氏のブログ「凡人が、天才を殺すことがある理由。ーどう社会から「天才」を守るか?」より引用
2021年3月の田端大学定例では、この「天才を殺す凡人」を課題図書に、
・自分は「凡人」「秀才」「天才」のどれか?
・過去に天才を殺した(天才の人は殺された)ことがあるか?
・どうすれば天才を殺さず(天才の人は殺されず)にすんだのか?
について考えました。
定例会当日には、事前の選考で選出された「凡人」「秀才」「天才」タイプの3名が、具体的なエピソードとともに、自身が考える「天才が殺されないための方法」を発表しました。
天才は潰されないために、まず、小さな結果を出す。-久保田夏美さん
抹茶専門ブランド「千休」を運営する久保田さんは、自身を「天才」タイプと位置づけました。
美味しいけど高いか、安いけど美味しくないのどちらかしかなかった抹茶業界において、20代前後の女性をターゲットに“手軽に良い抹茶が飲める”という新たな価値を提供しようと創業しましたが、お茶の今までのイメージとはかけはなれていたものだったが故に、反発も多かったそうです。
周囲に相談・検証していてはスピードが遅く、せっかく生み出そうとしている新しい価値を失うところだったと当時を振り返りました。
では、天才タイプが、今までになかった価値を創造するためにどうすべきか?久保田さんの答えは、「まず、小さな結果を出す」こと。
小さくても、数値が目に見えるような結果を出すことで、秀才や凡人が認めてくれるようになり、天才タイプの弱点である説明能力の弱さをカバーできるとしました。
しかし同時に、このように社内のメンバーに天才自身が歩み寄るような姿勢は自らの天才性を殺すことにもなるという危機意識も持ち、一つの会社組織にこだわらず、社外に適したチームを作りステージに応じて成長させていく働き方を提案しました。
創業オーナー社長は暴君でいいんです。理解される必要はない、というくらいのスタンスでもいいんじゃないでしょうか。
小さな結果を出すというのは、もちろんその通りで、さらに言えば意見が対立したところで我を通した上で勝つ。これが大事だと思います。そしたら「あの人の言うとおりになった」と周囲の見方も変わります。
「自分のやっていることは正しい」とぶれないでいられる人こそが天才なので、空気を読まず、自信を持って突っ切ってください。創業社長は振り回してなんぼです。
(田端信太郎のコメントより一部を引用・要約)
東西南北天才に囲まれる凡人:植田隆志さん
吉本興業でお笑い芸人のマネジメント・プロデュースを行う植田さん。
ネタを作ったり創造力の高いお笑い芸人は「天才」。彼らの個性を受け止め、そのコンテンツを広め、共感を伝えるというマネージャーの仕事は、「凡人」にあたると定義しました。
植田さんは、天才の成長を妨害した事例として、入社間もないころのエピソードを紹介しました。担当している芸人さんが某有名コンテストで優勝したものの、それを心から喜べなかったと言います。
その理由は、当時ただでさえ激務でモチベーションが下がっていたのに、更なる激務が自分に降りかかってくるということにストレスを感じたから。具体的に何かをしたわけではありませんが、「勘弁してくよ」と、天才の成功を心理的に妨害してしまった当時の心情を語りました。
その他にも、仕事柄クリエイティビティにあふれた天才たちに囲まれる中で、自身が天才に対して抱いてしまった妨害マインドから、彼らが妨害される理由と、どうすれば応援できたかを具体的に検討しました。
最後は「天才は去り際が重要」という、様々な天才を見てきた立場だからこそのリアリティある言葉でプレゼンを終えました。
お笑い含めて、クリエイティブ産業というのは、普通の会社以上に人間関係ベースでの社内政治が激しくなりますよね。再現性が弱く、良い悪いも極めて主観的な評価にならざるをえない。
結局、誰の言っていることを信じるか、みたいなことでしか判断できなくなるだろうと想像できます。そういうもんだと思っていれば、気が楽になるのではないでしょうか。
天才は去り際が重要、というのは本当にその通りだと思うんですが、ただ、天才を降ろすのは民主主義的な選挙ではないです。革命を起こすか、美学を尊重し「ここで去ればかっこいいですよ」と誘導してあげるか、ですね。
(田端信太郎のコメントより一部を引用・要約)
天才な部下を殺した、秀才な私の話。―小笠原圭祐さん
ベンチャー企業で働く小笠原さんは、論理的にものを考え、知識や数字を武器にすることが多い自身の性質から、自分自身を「秀才」と判定しました。
数年前、小笠原さんがリーダーとしてまとめるチームに、独創的なアイデアで組織を活性化させる天才タイプの部下Aさんがいたそうです。当初はその天才性を歓迎し、全幅の信頼を寄せていましたが、業界の成長とともに状況が変わり、その独創性が他のメンバーの業務を混乱させ、気づけばAさんはチームで衝突を生む存在に…。
Aさんの能力を活かし、かつチームのムードも変えようとAさんを他部署に異動させたところ、この選択はあまり良い結果を生みませんでした。天才を失ったことでチームは伸び悩み、Aさんは新たな部署でその才能を十分に発揮することができず中途半端な結果になってしまいました。
どうすれば、天才Aさんの創造性を最大限生かすことができたのか?
小笠原さんは、「天才というのは、組織にとってリスクとなりうる存在。毒にも薬にもなる存在である」ということを認識することが重要だと言います。
それを認識したうえで、一定の枠の中で全権限を持たせることで、天才は成果を出しやすくなると考え、天才へはプロジェクトベースへの仕事を重点的に振る組織のあり方を提案しました。
自分の部下に天才がいるときに、絶対にやってはいけないのは、その天才に嫉妬することですよね(小笠原さんは嫉妬心はなかったそうですが)。
自分が上司なんだから、その部下のアウトプットが、結局は自分のアウトプットになるんですよ。
天才だって一人で全てできるわけではないので、天才を潰しにいくのではなく天才の力をフルパワーに活用したほうが、結果として自分も得するし、みんなにとっても良い結果が生まれるはずなんです。
部下の才能を発揮させられるようにすればよかった、という小笠原さんの振り返りは本当にその通りだと思います。
(田端信太郎のコメントより一部を引用・要約)
田端大学初!2ヶ月連続MVPの誕生!
自らの過去の反省を赤裸々に告白した発表が多かった今回の田端大学の課題。MVPを受賞したのは・・・
2021年3月 田端大学MVP:小笠原圭祐さん
パターンメイドの革靴ECビジネスを準備中です/令和生まれの娘2人の父親
Twitter:https://twitter.com/KeiOgasa
小笠原さんは、田端大学はじまって以来初となる2ヶ月連続MVP獲得です!おめでとうございます!
田端大学では、毎週月曜日に定例の勉強会を行っています。月末にはこのように課題図書からお題が出され、塾生が発表をする回があります。発表者の中で最優秀、つまりMVPとなれば月会費永年無料や田端信太郎とのサシ飯などの副賞も。
殴り込み大歓迎。ぜひ挑戦してみてください。
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この記事を書いたのは:但馬 薫
「BIG WAVE」編集長 兼 オンラインサロン「田端大学」塾長補佐。子育てしながら在宅フリーランスで活動中。記事の中では、難しいこともシンプルに、皆さんの日々の仕事にすぐに役立てられるネタを目指しています!
Twitter:https://twitter.com/kaoruchaaaan