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尾原和啓、惨敗!? 新著『 #ネットビジネス進化論 』執筆の動機になった「vs 田端大学」の刺激的な裏側

オンラインサロン「田端大学」塾生の精鋭と、田端信太郎が、書籍『ITビジネスの原理』の限界を指摘して、著者の尾原和啓さんにディベートを挑んだ、2019年10月の定例会。

尾原和啓さんに「改訂しましょう」と言わしめたばかりか、新著『ネットビジネス進化論』(2020年6月27日発売)内で、執筆のきっかけにもなったと言及された、刺激的なイベントの内容を、一部のみ紹介します。

ゲスト:尾原 和啓(おばら かずひろ)/フューチャリスト

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マッキンゼー・アンド・カンパニーにてキャリアをスタートし、リクルート(2回)、Google、楽天など計14職で活躍。シンガポール・バリ島をベースに人・事業を紡ぐカタリスト。

2014年・2015年連続Top10のロングセラー『ITビジネスの原理(2014年・NHK出版)』を皮切りに、世耕弘成経済産業大臣に推挙された『アフターデジタル(2019年・日経BP)』など、ITの最前線から、進化をわかりやすく紐解く著書が豊富。

2020年6月には『ネットビジネス進化論(NHK出版)』、7月には『あえて、数字からおりる働き方 個人がつながる時代の生存戦略(SBクリエイティブ)』と注目書籍の発売を控える。

尾原和啓(おばらかずひろ)公式サイト

但馬:SkypeからZoomへ。後発であることは純粋想起を奪えない理由にはならない

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イベントでは、田端大学の塾生が、先鋒・次鋒・中堅・副将・大将の5組に分かれて、尾原和啓さんとのディベートに挑みました。

常にインターネットの最前線で活躍し、死角がないように思える尾原和啓さんに、強烈に切り込むことに成功した一人が、中堅の但馬 薫さんです。

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子どものころからパソコンやインターネットに親しみ、出産後もその強みを活かしてフルリモートワークを6年間続けているという彼女は、尾原さんが唱える「(ITビジネスにおける)純粋想起」という原理に違和感を覚えたといいます。

「純粋想起」とはハンバーガーとポテトと言えばマクドナルド、のように、何のヒントや手がかりもなく、ブランド名などを思い浮かべることを指します。

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但馬:但馬薫と申します。果たし状を持って、名古屋よりやって参りました。さっそく尾原さんに質問です。ビデオ会議と言えばなんですか?

尾原:Zoomですね。

但馬:はい、尾原さんはZoomのヘビーユーザーでいらっしゃいます。では、5年前を思い出してください。ちょうど、『ITビジネスの原理』(2014年1月発売)が発売された2014年頃ですね。

尾原:ああ、Skypeですね。

但馬:即答すると思っていました。ありがとうございます。(笑)

ここで私の主張です。ITには一番手の優位性を覆す力があり、後発であることは純粋想起を奪えない理由にはならない、と思っております。

純粋想起を取るために重要な要素のひとつに、最初にブランドを確立することがあります。多くの人は、最初にブランドを構築した人を評価する傾向にあると思うのです。例えば価格コムと同様のサイトにECナビというサイトがありますが、どうしても人はECナビよりも価格コムに向かうわけです。

尾原和啓 著『ITビジネスの原理』第1章 - Googleはなぜ勝ったのか より

と書いておられますが、本当にそうですか?

ITビジネスの歴史を振り返ったときに、

・検索 Yahoo! → Google

・ブログ アメブロ → note

・ビデオ会議 Skype → Zoom

と移行しています。つまり、ITビジネスは、純粋想起を書き換えながら育ってきたのではないでしょうか? 平家物語の冒頭のとおり、世の中は諸行無常であり、盛者必衰です。

没落してしまう4つのパターン

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但馬:事業に置き換えて「盛者必衰の理」のパターンを、4つに分けてみました。

まずは自滅。不祥事を筆頭に、自分で自分の評判を落とすような失敗をしてしまうケース。

続いて、カテゴリであったり、業界であったりの大幅再編の影響を受けてしまうパターン。

先鋒の渋谷さんが話題にした「ヤフオク!」と「メルカリ」のように、ユーザ属性がガラッと変わってしまったり、PC/ガラケー → スマホのデバイスチェンジだったり、という変化があったときに、(自社の売上やユーザー数は変わらなかったとしても)存在感を残せずに、相対的に地位を落としてしまいます。

さらに、カテゴリだったり、業界そのものが消滅してしまって、仮に業界No.1であり続けたとしても事業がなくなってしまうケースもあります。

そして最後に、後続の躍進。今回、私が強調したいのはここです。代表的な事例の一つとして、Skype → Zoomのシフトがあると思っています。

Zoomの躍進は言うまでもなく、尾原さんの中でも、純粋想起が書き換わっているはずです。

尾原氏の中でSkype→Zoomと純粋想起が切り替わっている証拠をTwitter検証

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但馬:尾原さんのTwitterでのSkypeとZoomへの言及を調べてみました。

尾原:へぇ〜。おもしろい。

田端:嫌だよ、こういうのは。(笑)

尾原:え、これは何のツールを使って調べたの?

但馬:ただのTwitterのコマンド機能です。

尾原:人力で頑張って数えたの!?ありがとうございます。

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但馬:Skypeには、2010年ごろからちょろちょろっと言及しています。2017年あたりで、Skype世間話を推していらっしゃったのかなと。

尾原:ああでもね、正確にはね、このときもSkype世間話をZoomでやってんだ。

但馬:おっと。(笑)

尾原:「Zoom世間話」と言っても、2017年当時は、まだ世の中の人には通じないから。(笑)

但馬:2017年11月に初めてZoomについてツイートするんですね。Zoomの機能をテストしたいから、誰かやりませんか、というような文脈です。

だからそれ以前から使ってきているんだろうな、そしてこの辺りから世に出してもいいかな、と判断してきたんだろうなと分析をしました。

2018年ごろに、尾原さんの中でSkypeからZoomへ切り替わり、2019年以降は完全にZoom一色です。

勝因は?Zoomは何が優れているのか

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但馬:では、なぜZoomはSkypeに勝てたのか?私なりに分析をしてみました。

SkypeとZoomの比較は色々なところでされているんですけど、どちらも無料で使えます。有料プランは、Skypeは600円から。Zoomは2,000円から。ということは、Zoomは価格勝負はしていません。

Zoomのビデオ会議は、Skypeよりも性能がいい、というのはよく言われますが、いいものが売れるとは限らないと思うんです。

ポイントになるのは、Skypeはアカウントが必須である一方、Zoomではアカウントがなくてもビデオ通話ができる点です。

Windowsのパソコンなら、Skypeがプリインストールされていることも多いんですけど、そもそもMicrosoftアカウントってなに?という人も少なくありません。

「Skypeで通話したいのでIDを教えてください。」「検索しても出てこなかったので登録しているメールアドレスを教えてもらっていいですか。」そんな面倒なやり取りをやったことがある方、いらっしゃると思うんです。

ところが、Zoomは参加するだけならアカウントはいりません。招待URLをクリックするだけ。アプリも自動的にインストールされます。ブラウザでも参加できます。とにかく簡単なんですね。

Zoomはスイッチング・コストを極限まで下げた

但馬:Zoomの創業者エリック・ユアン氏が、スタートアップ向けの講演で

「顧客が本当に愛してくれるソリューションを提供できれば、どんなに厳しい市場でもチャンスはある。Zoomはその証明だ」

「Zoomを試してみた人が「こっちのほうがいいじゃん!」と気づき、一人ずつユーザが増えていった」

という趣旨の発言をしていました。

そうだろうな、とは思うんですけど、このサラッと言っている“試してみる” というのが実はハードルが高いんですね。

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今使っているサービスから、新しいサービスに乗り換えるための障壁。つまりスイッチング・コストです。Zoomはこのスイッチング・コストがすごく低いんです。

無料でも多くの機能が使え、専用機材も不要ですので、まず金銭的コストは0円~です。

物理的コストもほとんどかかりません。URLをクリックするだけ。Zoomを使うからといって、これまでのサービスが機能しない、二度手間になる、というような問題もないですよね。

そして心理的コスト。無料で簡単に使えて、今までの業務の邪魔にもならないので、人へ紹介しやすい特徴があります。紹介された側は、人から紹介されたツールなので安心して使えます。

金銭的にも物理的にもコストがほとんどかかっていませんから、使いにくかったらやめればいいという考え方もできます。

こうして、口コミの連鎖反応が広がっています。

スイッチングコストを下げることで、後発でも純粋想起を奪うことができる

ZoomがSkypeに勝てた理由は、

1. 顧客満足度を追求し、質を高めた
2. スイッチング・コストを極限まで下げた

この2点に集約されます。

尾原さんは『ITビジネスの原理』にて、「多くの人は、最初にブランドを構築した人を評価する傾向にあると思うのです。」と書いています。

が、最初にブランドを構築した人を評価しているのではなく、ただ乗り換えが億劫なだけなんじゃないですか? Zoomのようにスイッチング・コストを下げることで、後発でも純粋想起を奪えるのだ、ということを私は言いたいと思いました。

加えて、スイッチング・コストの話は、ITだけに限った話ではないのですが、中でもIT・インターネットは、スイッチング・コストを下げる可能性が無限にある領域なのだと思っています。

スイッチング・コストを極限まで下げられる=この5年で登場してきた発明

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尾原:ありがとうございます。大前提として、スイッチング・コストを極限まで下げられるというのは、この5年で登場してきた発明なんですね。

ディープリンクってご存知ですか? 正式に使われるようになったのが、5年くらい前のはずなんですが、Webのリンクなんだけどアプリが立ち上がる、というものです。

これによって、劇的にスイッチング・コストを下げるということができたんですね。

もう一つ大切なことを言っておくと、先鋒の渋谷さんがおっしゃっていたように、新しい価値観が生まれたら、ゲームチェンジが起きやすい。

背景としてなぜZoomが勝ちやすくなったかというと、フリーランスやリモートワークが増えて、多人数でビデオミーティングする機会が増加したからです。

Skypeが使われていたときは、1対1のコミュニケーションが主流だったんですよ。1対1なら相手がSkypeを使っていればOKだったんですけど、多人数コミュニケーションになると、使っていない人間が1人でもいると、問題になってしまうんですよね。

だから、徹底的にスイッチング・コストを下げるというのは、すごく有効な戦術なのは事実です。だからごめんなさい、僕、こんなに強く純粋想起の優位性を書いちゃったんだと。

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田端:今回、「純粋想起」と「収穫逓増」が、我々が突くべきポイントだと考えていまして。間違っているわけじゃないんですが、すべての場合に当てはまるわけじゃない。

尾原:そうですね。『ITビジネスの原理』を出版した2014年から、僕の中ではアップデートされていて。

田端:すごくわかるのは、私も本を何冊か書いたことあるんですけど、みなさんが思っているほど、本の著者って、自分が過去に書いたことを覚えていないんですよ。(笑)

尾原:僕の中では、純粋想起って、新規獲得なんですよね。

わかりやすく言うと、僕は東京は素人だから、若者の娘になにか服を買ってやるかとなると、「原宿」と言っちゃうんですよ。解像度が低いから、お店の名前を言えないので、とりあえず原宿に連れていけば、似合う服があるだろうと。

新規獲得では純粋想起を取っていたほうが得なんだけど、そこからいかにネットワークエフェクトにスライドしていくか、ぐらいの感覚で書いていたので。

これやっぱり、ちょっと改訂しましょうね。

(田端大学 2019年10月17日イベントより、一部抜粋)

2020年6月27日発売『ネットビジネス進化論』に期待!

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ネットビジネス進化論』(2020年6月27日発売)より。画像は田端信太郎が著者の尾原和啓さんに許可をいただきツイートしたもの

尾原和啓さんは、田端大学とのディベートを「鼻っ柱を折る出来事」「惨敗」と表現(田端大学としては、5年前に出版された書籍が対象であり、その間にインターネットが進化してしまったポイントを攻めることができる、非常に有利な条件でした)。

ふんどしを締め直す形で執筆された『ネットビジネス進化論』。進化論というタイトルの通り、進化する前提で、それでもネットビジネスにおいて仕組みで勝ち続けるやり方を作り直した、と言います。

ITの最先端を走り、国内外の膨大な事例を知る、尾原和啓さんならではの視点が遺憾なく発揮されているはずで、期待しかありません。2020年6月27日発売です!

フルバージョンは田端大学加入で視聴OK。尾原氏との再戦も6/22に決定!!

オンラインサロン「田端大学 ブランド人学部」では、毎月、ビジネスマン必読の課題図書をベースに、プレゼンや討論で競い、MVPを決定しています。

すべてのイベントはアーカイブされており、田端大学加入者はいつでも視聴ができます。尾原和啓さんにディベートを挑んだ、2019年10月の定例会は、3時間を越える激闘となりましたが、もちろんこちらも見られます。

また、2020年6月の定例会では、新著『ネットビジネス進化論』のうち2章分がプレゼントされ、これをベースに尾原和啓さんとの再戦も決定。バラエティ豊かな視点からビジネスを学べる田端大学はこちらからチェック。

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文/よりかね けいいち

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オンラインサロン「田端大学 ブランド人学部」公式メディア。“チャンスを見逃すな!” “時代を乗りこなせ!” 自分の人生をつかみ取りたいと渇望しながらも、一歩を踏み出す勇気が出ない人々の、背中を押すメディアです。

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