
「給料を上げてください!!」と懇願する人の給料こそ上がらない理由
今、あなたの年収はいくらですか?
月に25万円、30万円、40万円、60万円…。もちろん人によって様々ですが、「今の給料、上げられるなら上げたい!」と誰だって思うはず!
でも、だからといって、「給料を上げてください!」とお願いするのは、絶対NG。給料を上げるためにやるべきは、お願いではなく、交渉です。
自動的に年収が上がっていく「定期昇給」には、もう期待できない
2020年9月30日、トヨタ自動車が一律の定期昇給を廃止するというニュースが流れました。
トヨタ自動車は定期昇給について、一律的な昇給をなくし、個人の評価で判断する制度を2021年1月から導入する。30日、労使で最終合意した。評価によっては定昇がゼロになる可能性がある。自動車業界が変革期にある中、社員のやる気を高め、生産性を引き上げる。
(記事本文より一部引用)
トヨタ自動車といえば、誰もが知る大企業中の大企業。「安定」の象徴のような会社のこの決断は、今後の他の日本企業の給与体系にも少なからず影響を与えるでしょう。
定期昇給がなくなれば、それぞれの個人に対する評価を重視して給料が決まることになります。さて、そんな中で、給料を上げたいと思うあなたは、どのような行動をとればいいのでしょうか?
今回は、田端大学の塾長である田端信太郎のYoutube動画からその答えをお届けします。
以下、上記動画の内容を再編集してお届けします。
田端信太郎自身、会社員時代には、常に給料が上がり続けてきた経験を持ち、また、部下の給料・ボーナスを決める立場でもあったと言います。
給料を上げるために必要なステップは大きく分けると2つ。
(1)会社との間に信用貯金を貯める
(2)真剣勝負の交渉をする
他の人がやりたくない仕事をやれ!
まず「言われたことを、言われた通りにやるだけ」では、給料は上がりません。他の人でもできるからです。
それでも、定期昇給があれば少しずつは給料が上がることがありますが、前述のとおり、これからの時代はそれにも期待できないわけです。
「言われたことをちゃんとやる」のは、仕事の最低ライン。
その部署、会社で他の人が嫌がっていること、やらないこと。でも会社にとって必要なことこそ、ねらい目です。
積極的に自分から「その仕事やらせてください!」と立候補をして、他の人がやらない仕事を受けましょう。次第に、会社や上司とあなたとの間に目には見えない「信用貯金」が貯まっていきます。
昇給というのは、その信用貯金を引き出すようなもの。そもそも信用が貯まっていなければ、もちろん引き出すものはないわけです。
これがステップの1つ目です。
「給料を上げてください」という懇願は、最低。
ここから2つ目のステップ、「交渉」に入っていくわけですが、「お願い」と「交渉」は全く違います。
「お給料を上げてください。最近子どもが生まれて生活が大変なんです。どうかお願いします…」
これは懇願です。こうした泣き落としの作戦が効く上司も中に入るかもしれませんが、多くの場合お願いする姿勢はより心象を悪くしてしまいます。
上司と部下の関係に限らずビジネスで一番大事なのは「自分と逆の立場で考える」こと。
自分が上司の立場だったとして、「給料上げてくださいよ」とお願いをしてくる部下を見て、良い印象を抱きますか?
自分の買い手を増やして、交渉のテーブルにつく
そもそも、給料を決めているのは今の会社ですが、自分という商品に対して売値を決める権利を持っているのは自分自身です。
自分を商品と見立てると、値段を上げる方法は「買い手を増やす」こと。
例えばブックオフよりも、メルカリのほうが本が高く売れますが、その一因はメルカリの方が「買い手」が多いからです。
人気のある商品であればあるほど、買い手同士の間で競争が発生し、値段が上がっていきます。
これは経済の大原則です。
近所の古本屋に行って、「これ良い本なので、もっと高く買ってほしい」とお願いをしたところで相手にされないかもしれませんが、メルカリであれば、「あなたに売らなくても、他に買う人はいる」と言えるわけです。
自分という商品で言えば、具体的に取れる行動として
・転職サイトや人材サイトに登録する
・ヘッドハンターと会う
・英語を勉強して、外資系の企業も受けられるようにする
など。自分の買い手を増やせば、自然と給料は上がるようになります。
交渉とは、「これをやってくれないなら、うちはこうするぞ」と言えること。買い手が増えることではじめて、交渉のテーブルにつくことができるようになるのです。
最強の昇給交渉術
例えば、現給が年収600万円の人がいたとします。英語力が高まり、転職の面接を突破して外資系企業から800万円のオファーが来ました。
年収800万円の採用通知を胸ポケットにしまった状態で上司のところに行きます。
「年収800万円のオファーをもらいました。でもこの会社が好きなので、同じく800万円をいただけるなら会社に残ります。
そうでないなら、今までお世話になりました。ありがとうございました。」
これが最強の交渉です。正直、上司の立場で考えると、ここまでされるともう半分以上詰んでいます。黙って辞めさせたとなれば、直属の管理職は無能だと言われても仕方ありません。
とはいえもちろん、そこまでやったからといって必ずしも給料が上がるとは限りません。本当に会社にとって手放せない人材であれば要求は受け入れられるし、短期的に売り上げが下がっても仕方がないと、受け入れられないこともあります。
しかし、ただの「お願い」とは違い、少なくとも「交渉」の舞台には立てたはずです。
覚悟のない交渉ほどダサいものはない
一番ダサいのは、会社を辞める覚悟もなく脅し文句として使い、あっさりと「辞めたいならどうぞ」と言われてしまうこと。
「いや~実は、あのオファーは無くなりまして…」と、その会社に居続けることほど、みっともないことはありません。
本気の交渉は、真剣勝負。
「今の会社の椅子を蹴ってでも」
「だったら他の会社に行く」
という覚悟を持って、挑むべきものです。
プロなので、お金にこだわることは、全く恥ずかしいことではありません。
とはいえ、お金のこだわり方やマナー・作法、人間性などが問われるのが給料交渉の場面でもありますね。
(終)
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会社と交渉できるだけの胆力とブランド力を鍛えたい!と思ったあなたは、ぜひ田端大学へ。
編集:但馬 薫