
「営業」をやりたくないと思う人は、まずその恐怖心の正体を知ろう
「営業がビジネスの基本」「営業ってめっちゃ大事!」と言われても、いやいや俺(私)営業職じゃないし、自分には関係ないやと思っていませんか?もし、そう思っているのなら、きっとあなたは「営業恐怖症」です。
営業アレルギーのままでは、いつまでもあなたの仕事は広がらないし、あらゆるところで主導権も握れないまま終わってしまいます。でも大丈夫。営業が怖いのあなただけじゃないのです。
恐怖心の正体と正しく向き合うことで、きっと「営業」に対する漠然とした嫌悪感が和らぐはずです。
私たちは、営業の何が怖いのか
こんにちは。田端大学公式メディア「BIG WAVE」編集デスクの但馬薫です。
先日、『営業と顧客は対等である!「あなたに売らなくても、他に買う客はいる」と言えていますか?』という記事を公開し、オンラインサロン「田端大学」の定例会の中で塾長・田端信太郎が語った営業論を紹介しました。
前回の記事では、「営業職」の人がいかに顧客と向き合うかという話が中心でしたが、モノを売るということがビジネス、商売だと考えると、やっぱり「営業力」というもの自体は職種に限らず、誰にとっても必要なものですよね。
なぜならビジネスでは「顧客」が一番えらい!
その次にはその顧客を連れて来れる人間、顧客から信頼される人間がえらい!からです。これは、古今東西を超えたビジネスにおける普遍の原則です。
クリエイターだろうが、管理部門だろうが、この意味において、広義の「営業」が出来ない人は、永遠に下っ端で作業をしているだけになります。
(「田端大学」Facebookグループ内 田端信太郎の投稿より)
でも、「分かっちゃいるけど、営業ってなんか嫌」という営業未経験者も少なくないのではないでしょうか。
かくいう私自身も、フリーランスですが営業職の経験はなく、今もクライアントへの売り込みや交渉ごとがとっても苦手です。
そんな私ですが、今回、前述の記事の執筆過程において、そして課題図書であった「なぜハーバード・ビジネス・スクールでは営業を教えないのか?」を読む中で、これまで漠然と抱いていた営業に対する恐怖心の正体が分かりました。
「営業の何に恐れをなしているのか」を認識した途端、これまで嫌だ嫌だと漠然と思っていた気持ちがスッと消えたのです。
今回、私が認識した恐怖心の正体は3つです。
(1) 「正解のなさ」に対する恐怖
(2) 「人と交わること」に対する恐怖
(3) 「失敗」に対する恐怖
営業とは、サイエンスではなくアートだ
営業には、正解がないと語るのは、「田端大学」の塾長、田端信太郎です。
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田端:私が思うに営業とは、サイエンスではなくアートです。これは、つまり科学的な意味における「再現性」がない、ということです。
あるトップ営業マンAが得意なパターンを、そのまま真似したところで、別の営業マンBにおいてうまくいく保証はありません。顧客Aに刺さったセールストークが、別の顧客Bに刺さる保証も全くありません。
営業活動を通じて、競合に打ち勝ち、顧客から売上を獲得してくるとは、ストリートファイトにおけるケンカのようなものです。
必勝法はありません。そして、この「必ずうまく行く!正解や必勝法」がないプロセスを受け入れて振る舞えるようになることこそが、営業マンとしての終わりのない成長の旅の始まりです。
この「正解のなさ」に恐れをなし、頭の良い若者は「営業」職に対して、偏見を持ってるでしょう?(正直になりなさい!私もそうでした)。おそらく、ペコペコするだけのつまらない仕事、と思っているのではないでしょうか?
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正解はないが、基本はある
「なんか営業しなくちゃ、仕事増えないよな」と思いつつも、「じゃあ具体的に何をしたらいいの?」とごちゃごちゃ考えてしまい、結局何もアクションを起こせない、という人もいるのではないでしょうか。
でも、「正解が分からない」ではなく「正解がない」と考えると、ちょっと気持ちが楽になりませんか?正解がないんだから、何をやっても間違いではないはずです。
そして、このコメントには続きがあります。
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田端:しかし、必勝法はなくとも、基本はあります。正解はなくとも定石はあります。
そういう基本や正解のパターンを、様々なトップ営業マンの実例で紹介しながら、あぶり出していこうというのが、今回の課題図書「なぜハーバード・ビジネス・スクールでは営業を教えないのか?」の本質でないか?と思います。
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ここからは、当時の課題図書「なぜハーバード・ビジネス・スクールでは営業を教えないのか?」(プレジデント社)から、営業への苦手意識を生み出す恐怖心の正体を探っていきたいと思います。
「他人からどう見られているか」が気になりすぎている
営業をする上で、対人コミュニケーション能力は欠かせないため、コミュ障の人はより一層、営業に対して苦手意識を持ってしまいがちです。
セールスへの恐れも、そのほかのさまざまな対人恐怖と変わらない。人と交わる状況に置かれると、誰しも自分がどうみられるかがそれなりに気になる。
(「なぜハーバード・ビジネス・スクールでは営業を教えないのか?」P159より引用)
こんな経験はありませんか?
・自分が話している途中に、相手がスマホを取り出したので「そんなに私の話がつまらなかったのか」と落ち込んだ。
・反論されて、自分の人間性を馬鹿にされたかのように感じた。
・プレゼンの場でスベッてしまったことがすっかりトラウマになってしまった。
対人恐怖症に陥りがちな人は3つに思い込みにとらわれ、勝手に萎縮してしまうそうです。
【1】あり得ないほど高い成果を出す必要があるという思い込み
【2】期待に添えないと、悲惨なことになるという思い込み
【3】自分は間抜けだという思い込み
コミュニケーションは完璧であるべきだ→相手も完璧を望んでいて、うまくいかないと馬鹿にされるかもしれない→あぁ、自分はなんて馬鹿なんだ
この思い込みの連鎖によって、どんどん「他人からどう見られているか」が気になって、ますます人と関わることが怖くなるのです。
目の前の状況と、自分を「意識して切り離す」
そんなとき有効な手段が、自分を第三者だと思って、客観的にその場を見直してみることだそうです。
例えば、目の前のお客さんに嫌われていると感じているとします。
なぜそう感じるのか、そのお客さんの行動を洗い出してみます。例えば、つまらなそうな顔をしている、話を聞かずにスマホを見ている、ため息をついた、批判された…等。
次に、客観的な視点でその行動の理由を考えてみます。そうすると、「自分のことを嫌っているから」以外の可能性が見えてきます。
今朝夫婦喧嘩をしてきたばかりで機嫌が悪い、寝不足で集中できない、子どもの病院の予約をしなくてはいけない、ただ、自分の意見を述べただけ…。
恐怖に支配されたセールスマンは、勝手な思い込みによる自分の欠点とそれに対する相手の反応を間違った方向に気にしすぎてしまう。そうして、みずからが取引の妨げになる。
(「なぜハーバード・ビジネス・スクールでは営業を教えないのか?」P164より引用)
「全て自分のせいだ」と思いこむ必要なんてないんですね。むしろそれは一種の傲慢かもしれません。
失敗の捉え方で、売上が変わる!?
営業ほど、「失敗」にさらされ続ける仕事は他にありません。その失敗をどのように捉えるかによって、その人の営業成績にも影響が与えることがあるといいます。
財布を落としてしまったとします。
【1】自責か、他責か
「財布を落としたのは自分がうっかりしていたからだ」と考えるか、「出かける前に、子ども達が騒いでいたからだ」と考えるか、あなたはどちらでしょう?
【2】いつものことか、たまたまか
「あぁ、こういう大事なときには毎回財布を落としてしまう」と思う人もいれば、「こんな日もあるか」と一度きりのことと捉える人もいます。
【3】拡大して考えるか、限定して考えるか
財布を落としたという事実に対して、「失敗続きで物事が整理できず、いつもうまくいかない自分の人生の象徴だ」という風に考えるのが、拡大的な考え方。「カードをとめて、免許証の再発行をしなきゃ」とその問題に対してだけ対処しようとするのが限定的な考え方です。
1~3いずれも、前者が悲観的で、後者が楽観的な捉え方といえます。
失敗に対して悲観的な捉え方をしてしまう人は、失敗の度に心が傷ついてしまうからこそ、「失敗」を避けようとしてしまいます。
サンプル数は少なかったが、結果には説得力があった。楽観的と評価されたグループは悲観的なグループより三七パーセント売り上げが高かった。上位一割と下位一割では、八八パーセントもの開きがあった。前向きな姿勢を持っていれば、はるかに優秀なセールスマンになれることが証明されたのだ。
(「なぜハーバード・ビジネス・スクールでは営業を教えないのか?」P152より引用)
楽観的な人は、何かあっても、それを外的な要因による一過性の限定的なことだと考え、最悪のときは過ぎたと考える。理想的なのは、なんでもかんでもお気楽に捉えるのではなく、レオシンスのように成功と失敗の理由をきちんと理解したうえで、未来に対して前向きな姿勢を持ち続けられるタイプだ。
(「なぜハーバード・ビジネス・スクールでは営業を教えないのか?」P150より引用)
恐怖心の正体を知れば、対処ができるようになる
ここまでの話をまとめると、楽観的に、他人の目を気にせず、正解にこだわらなければ営業に対する恐怖心はなくなるはずです。
「そんなこと言われても、性格だから、すぐに変えられないよ」
と思いますよね。
でも、性格は変えられなくても、自分がどんなことに対して恐怖心を抱き、なぜ嫌なのかを整理することで対処ができるようになります。
客観的に自分の恐れと向き合うことで、客先に行く前から緊張で押しつぶされそうになったり、不必要にオドオドビクビクすることはなくなるのではないでしょうか?
営業は、ビジネスの基本。私もあなたも、逃げているだけではいつまでたっても先には進めません。今回のこの記事が、「営業なんて嫌だな」と思っている方の気持ちを少しでも軽くするものになっていると嬉しいです。
『なぜハーバード・ビジネス・スクールでは営業を教えないのか』2020年4月増刷の際に、「田端大学課題図書に選定されました!」と帯にコピーがつきました!
田端大学で課題図書に選んだ「ハーバードビジネススクールではなぜ営業を教えないのか?」が増刷され、帯に「田端大学課題図書に選定されました」と載ることに!こうやって書店の店頭などでも「田端大学」が、ビジネス書の販促に影響力のある場だと認知されるのは嬉しい!https://t.co/EAFH0TJnOm pic.twitter.com/ORs5oAT2kd
— 田端信太郎@田端大学 塾長 (@tabbata) May 10, 2020
この記事を書いたのは:但馬 薫
「BIG WAVE」編集長 兼 オンラインサロン「田端大学」塾長補佐。子育てしながら在宅フリーランスで活動中。記事の中では、難しいこともシンプルに、皆さんの日々の仕事にすぐに役立てられるネタを目指しています!
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